「野球さえうまければよい」という風潮に対するアンチテーゼとして、私も頭ごなしに反対というわけではない。実力が全ての夏の甲子園に対し、春は神宮枠のようなバラエティーに富んだ枠があってもよいと思う。
問題は、首を傾げたくなるような選考理由にある。最初は「廃校の危機を乗り越え」(2002年鵡川)、「離島の過酷な条件を克服し」(2003年隠岐)など、それなりに納得できる選考理由だったのに、最近はもうメチャクチャなのである。
例えば「創立111年目の伝統校」(2005年高松)、「秋季中国大会で2年連続の4強」(2008年華陵)、「創部が1901年と歴史があり」(2008年安房)など。伝統校であったり、創部が古いことがどうして選考理由になるのだろう。まして、近年甲子園まであと一歩届かないことが選考理由になるなんて。
そして極めつけは、今まで21世紀枠で私立校は1校たりとも選ばれていないという点だ。私立校はどんなに地理的・気候的にハンディがあろうとも、伝統校であろうとも、甲子園出場まであと一歩であろうとも、決して選ばれない。今後もおそらく選ばれないだろう。練習環境に恵まれた公立校もあれば、恵まれない私立校もあるのだが。
ただ単に、1校でも自分たちの意に沿うような出場校を増やしたい、あるいは公立校を増やしたい、としか思えないのである。そんなものを2校から3校に増やすのだから、我々野球ファンにとってはたまらない。もちろん、選ばれた高校には何の罪もないし、せっかく出られるのだから頑張ってほしいとは思うが、このような制度が拡大して今後も継続すると思うとウンザリしてしまう。せめて、少しでも納得のいく選考理由を説明してほしい。
21世紀、すなわち2001年の第73回センバツ大会から導入されている21世紀枠。毎年2校選出だったが、2008年の第80回記念大会では3校に増やされ、たまたま3校とも初戦突破したことに味をしめた高野連は、2009年の第81回大会からは希望枠を廃止し、代わりに21世紀枠を常時3校にするのだという。