第5戦、日本ハムは中4日でダルビッシュが先発に決まっているが、中日は中4日でエース川上か、ポストシーズン初登板の山井か、絞りきれない部分があった。結局は山井が先発ということになったが、仮に山井が敗戦投手になったとしてもこの采配が正解だと思う。川上が中4日でベストピッチができるとは限らないからだ。
ところが、その山井が期待以上の好投。不振が続く日本ハムはオーダーの入れ替えもなく、湿ったままで山井を相手に手も足も出ない。8回を終えて86球、パーフェクト。8回裏の中日の攻撃が終わると、ナゴヤドームのスタンドからは割れんばかりの「山井」コールが沸き起こる。しかし、森投手コーチがボールを受け取ってマウンドに。これは交代の意思表示だ。出てきたのは守護神の岩瀬。岩瀬に対する歓声とため息のようなものが交錯し、球場は妙な雰囲気になった。
2007年はポストシーズンでの登板は初めて。2006年日本シリーズでの登板はなく、2004年の日本シリーズ第4戦(先発して勝ち投手)以来の大舞台である。つまり、ポストシーズンでの経験は少ない。ただでさえ53年ぶりの日本一がかかっており、重圧のかかる9回表のマウンド。それに自らの大記録の重圧もプラスされる。86球で体力的なスタミナは残っているだろうが、精神的なスタミナは残っていない。こう判断したのではなかろうか。
それに加え、落合監督は2004年、2006年と二度も日本シリーズで敗退している。もう日本シリーズに出ただけでは満足できない。3勝1敗なのであと2回負けられるが、ここで逆転負けを喫して札幌ドームに遠征すれば流れはガラリと変わってしまう。確率の高い守護神岩瀬を投入したのは当然とも言えるかもしれない。
後で分かったことだが、山井は自ら降板を申し出ていたそうだ。また、4回頃からマメを潰してしまい、ユニフォームが血まみれだったことも落合監督自ら明かした(本人も認めている)。2006年は肩を痛めて1年を棒に振っており、マメをかばうあまりに肩に悪影響を及ぼしてはいけない、との配慮もあったかもしれない。
マメについては後で分かったことだが、それがなくても私はこの采配は間違いではないと考えている。
2007年の日本シリーズは、2年続けて同じ顔合わせ(日本ハム−中日)になった。奇しくも、昨年とはまったく逆の星取りで4勝1敗。昨年は新庄のラスト試合という妙なムードの高まりがあり、日本ハムに目に見えない勢いのようなものが感じられた。今年はヒルマン監督が日本シリーズ直前に渡米するなど、昨年のようなチームの一体感は感じられず、逆に中日は落合監督が丸刈りにするなど、同じ相手には二度負けまいという相当な決意が感じられた。