悪者は複数存在する2007/3/14up

 西武が裏金を使ってしまった。「一場問題」の後だから当然罪は重いし、制裁を受けるのは当然である。だが、西武だけを悪者にして済むような問題でないことは明らかだ。なぜなら、悪者は複数存在するからである。

 本来なら、一場(現・楽天)の件があった時点で逆指名(自由獲得枠)制度を廃止すべきであるのに、人数を2人から1人に減らし、「希望枠」という形で残してしまった。これがそもそも間違いである。こんな制度があるのでは、遅かれ早かれいずれかの球団が裏金を用いていたであろうことは、火を見るより明らかだ。

 裏金を使った西武、希望枠という制度。そしてもうひとつ、裏金を受け取る側にもまた責任がある。西武から裏金を受け取った早稲田大のとある選手の父親は、マスコミに対して次のように弁明している。

 「奨学金のようなもので、息子が大学を卒業して西武に入団したら契約金から返す約束だった。この件に関して息子は一切知らなかった。金を借りただけで、悪いことをした認識はない。こんな騒ぎになって息子がかわいそう。この件はわたしの独断でしたこと。事情を説明したら『えっ』と絶句していた。息子の人生を台無しにして、西武に対して腹が立っている」

 だが3月14日、この早大の選手は金銭供与を知っていたと校長が発表した。西武側と選手側の間で覚書が交わされており、西武側の報告書に、選手本人も覚書にサインしていたとのことだ。これが真実であるとすれば、上記の父親の話はまったくのデタラメということになる。それに、西武に入団したら金を返すので悪いことはしていない、とはいったいどういう了見だろう? 要するに金の見返りに西武に入団するということで、立派な違反行為である。

 今回の例に限らず、アマ選手側からプロ球団側に裏金や高級車、果ては家一軒を要求するケースもあるという。それどころか、選手本人ではなく大学の監督が裏金で派手な外車を乗り回し、豪華な一軒家を建てたこともあるとか(これは一場問題の前の話だが)。

 とてもではないが、西武だけを責めたてて済む問題ではないし、ほかにも裏金を使っている球団があるかもしれない。こういうときにプロとアマを統括する「日本野球協会」が存在しないのは悔やまれる。今こそプロとアマが同じテーブルについて話をするべきである。


※「裏金をなくしましょう」もぜひご参照ください。「裏金を無くしましょう」と申し合わせても何の意味もない、と書きましたが、1年も経たないうちにそれが現実となってしまいました。