現在選手会が必死に訴えている「新規参入の促進」。これに私も大いに賛成したい。来季は11球団でやりそうな情勢だが、これを12に戻す努力はもちろん、場合によっては14や16に増やしたっていいと思う。
こう言うと反論があるかもしれない。「ファン減少が進んでいる中で球団数を増やしても意味がない」、あるいは「メジャーは球団数を増やしすぎて苦労しているじゃないか」と。たしかにそれは一面では正しい。だが、私の考えは少し違う。現在野球人気に陰りが見えているのはプロ野球界がマンネリに陥り始めているからで、まだまだ野球ファンになりそうな層は至るところに眠っていると思うのである。
具体的に言えば、例えば四国。高校野球では愛媛県代表の済美高校が今春優勝、今夏準優勝という実績が示すことからも分かるとおり、野球熱の高い土地柄であると思われる。しかし現実にはプロ野球の球団は1つもない。まことに惜しいことである。現在の四国の人口は約410万人。日本ハムが移転した北海道よりは150万人ほど少ないが、その代わり面積がはるかに小さい。松山あたりに球団を作れば、四国全土から観客が押し寄せる可能性は十分にあると言えよう。
もうひとつは東北。この地区も最近は高校野球の実力がどんどんアップしており、住民の期待も高い。現在では地上波ではほとんど巨人戦しか放送されていないが、もし球団が1つでもできれば、6県全ての注目を集めることは間違いなし。ちなみに73〜78年にロッテが仙台を本拠地としていたことがあったが、そういう経験があるからこそ、球団招致への熱は高い。仙台では開閉式の天然芝のドーム球場建設の計画が進められている。人工芝全盛の現在においてはまことに夢のある話で、ぜひ球団ができてほしいと思う。
Jリーグのアルビレックス新潟などが好例だが、普段サッカーを見ない人がその地域に球団ができるだけでサッカーを見るようになることがある。まして野球の場合は四国や東北・北陸など、球団のない地域が多すぎる。まだまだ野球ファンになる可能性を秘めた人々が多数眠っているという推測も、あながち間違いではないだろう。全国的に野球熱を高めるには、12球団という数は少ないように思う。
単純に12を16に増やすのもいいし、三軍制を敷くなどして、アメリカのように一軍の下に別運営の球団を傘下に置くという形をとるのもいい。例えば一軍は東京にあるが、二軍は仙台、三軍は青森、というように別々の地域に配置するのである。たかが二軍と侮るなかれ、アメリカの3Aだと、人気のある球団の場合は15,000〜20,000人の観衆を集める場合もある。東京や大阪などすでにプロ野球のある地域なら無理だろうが、球団のない地域ならたとえ二軍や三軍だったとしても、地域の住民が目を向けてくれる可能性は非常に高い。さらにその二軍の選手が一軍に昇格したのを見に行きたいと思うようになるかもしれない。
そう考えると、現在の制度は新規参入への壁が高すぎる。新規に球団を作る場合は60億円の加盟料が必要になってくるが、これは独占禁止法に抵触する恐れがあるとして現在見直されている(それまでずっと放置していたのが大問題なのだが)。そしてその代わりに「預かり保証金制度」を導入しようという動きがあるが、それは問題ない。過去にも1年だけ球団経営をやって行き詰まって身売りしたケースがあるが、そういうことが繰り返されると困るからである。だが、その預かり金を100億円にしようとしているオーナーがいるのは納得いかない。これもやはり新規参入を認めたくない老人たちの閉塞的な考えの象徴であると言える。ちなみにJリーグの加盟金は2000万円だそうだが、それから考えてもいかにプロ野球の経営者たちの感覚が異常であるかお分かりいただけよう。
「発展的縮小」などあり得ない。発展したければ拡大するのが良策であると私は思う。アメリカではアメフト・バスケットボール・アイスホッケーと並んで野球が4大スポーツと称されているが、日本では野球に並ぶほど人気のあるスポーツは現在のところない。それならば、大リーグの半分以下の球団数で満足することはない。失敗してもいいから門戸を開いてみてほしい。夢のある話にはファンもついていく。今の経営者側のやろうとしていることは、毛先ほども夢が感じられない。
