何ヶ月か前、とあるスポーツ新聞の読者投稿欄に「外国人枠4人は多すぎる。若者の夢を奪う」という投稿があった。私はこの意見には大反対である。外国人の人数に制限を設けて、日本人を「温室」で栽培しようとする発想だと思うが、そろそろこういう考えから卒業しなくてはならない。
沢村栄治がアメリカ選抜を1失点に抑え、試合は0−1で惜敗したものの大いに賞賛されたが、これはもはや昔の話。前にも書いたが、外国人枠など撤廃してもよいくらいである。外国人が5人いようが10人いようが、競争して打ち勝てばよいのだ。それができない選手は、実力が足りないというだけの話である。メジャーリーグに移籍したがる選手が多いのは、さまざまな国から多くの選手を受け入れることにより野球のレベルが高いから、というのもひとつの理由ではなかろうか。
―――さて。新日本石油ENEOS(神奈川)の田沢純一投手がメジャー挑戦を訴え、これに対しNPB側からは「慣行が破られる」と一斉に反対意見が挙がっている。たしかに、慣行に反するのは事実だ。
しかし、首に鎖をつけて無理やり引き留めて何になろう。一度プロ野球に入団した選手の海外移籍に一定のルールがあるのは分かるが、田沢投手はアマチュアの選手だ。好きな国でプレーする権利があって然るべきだと私は思う。
無理にプロ野球に入団し、「将来の夢はメジャー挑戦です」だの「3年連続2ケタ勝利すればポスティングでメジャーに行きたい」だの言いだすより、最初から気持ち良く送り出してやるほうがどれだけよいことか。悔しければ、メジャーリーグの魅力に負けない日本プロ野球を作ればよいのである。もちろん簡単なことではないが、いつまでも温室栽培の野菜や養殖ウナギのようではいけない(最近の温室野菜はけっこうおいしいですが…)。
もちろん、日本側から選手を送り出すだけではない。日本のスカウトも海外に行き、アメリカなどから逸材を連れてくればよい。そうすれば日本野球界が空洞化するという懸念はないだろう。そのためには、外国人が喜んで来たくなるような日本プロ野球である必要があるが…。
ここで問題なのは、「日本の各球団のスカウトはアマ選手と自由に接触できないのに対しMLBのスカウトは接触できる点」(東京中日スポーツより抜粋)である。ここはたしかに平等でなくてはならず、改めるべきだ。
外国人を制限したり、日本のドラフトを経由しないことを禁じたりすることが日本プロ野球の発展につながるとはとても思えない。田沢投手にしても、無理やり日本の球団に入団させたところで、数年後にはメジャーリーグに行ってしまうだろう。それよりは、メジャーに負けないような魅力あるプロ野球界を作っていくことを考えてほしい。
サッカー界ではJリーグからヨーロッパへ選手が多数流出しているが、野球の場合はそこまで圧倒的なレベルの差はない。レベル以外に、メジャーを選択したくなる要素が何かあるはずなのだ。
