ヒルマン監督はメジャーでの実績はないが、1A〜3Aの監督として実績を残し、1999年には3Aコロンバスを優勝に導き、その手腕が買われて日本ハムが招聘したものである。バレンタイン監督はヒルマン監督に比べれば現役時代の実績があるが、それでもスター選手とまでは呼べない。やはり彼も選手指導に定評があり、メジャーでは彼を慕ってFA移籍する選手が何人もいたという。
ところが、上の表を見ても分かるが、日本の監督の大半は現役時代に輝かしい実績を残している。さらに、現役時代に大スターだったことを理由に、コーチ経験もないままいきなり監督に就任させる場合もある。昨年の西武伊東監督・中日落合監督はそういう経歴ながらしっかり結果を残したが、伊東監督は現役時代晩年はコーチ兼任だったし、落合監督はキャンプで臨時コーチになるなど、選手指導には定評があった。さらに、西武と中日はもともと戦力が整っていた。今年の田尾監督を始め、戦力不足のチームをコーチ未経験者が指揮すると惨憺たる有様になる。チームが低迷した時の対処法を知らないからだ。
これではいけない。現役時代と監督としてでは、結果を残す方法が全く異なることを知るべきである。Jリーグではコーチになるにもライセンスが必要で、監督になるには「S級コーチライセンス」がいるのだが、この保持者は全国に200人もいない(2005年5月現在)のだとか。これの取得には所定のカリキュラムを修了し、筆記・実践などの試験に合格しなくてはならない。狭き門だが、この過程を経て真の指導者にふさわしい人材が育成される。現役時代の実績とは無関係で、高校サッカーの監督を歴任した人がこのライセンスを取得する場合もある。
現役時代に偉大な功績を残したのに、監督としてはまるで結果を残せず寂しくユニフォームを脱いだ人は何人もいる。そういうことを避けるためにも、プロ野球にも監督・コーチになるにはライセンスが必要なようにしたらどうだろうか? 日本プロ野球にも「コーチ学」という新しい学問が生まれるべきだ。