日本では、野球専用の球場がどんどん減っている。ドーム球場が増えているのがその象徴だ。たしかに札幌や仙台のような寒冷地域の場合、ドーム球場を本拠地とせざるを得ないだろう。しかし、関東以西なら屋根が絶対必要ということはない。
ドーム球場はたしかに便利だ。雨で中止になることはほとんどなく、日程に支障をきたさない。夏でも涼しく、選手にとっても観客にとっても快適そのもの。オフシーズンなどにはコンサートなどのイベントを行うことができ、そのため自治体側も積極的に資金援助をしてくれる。札幌ドームではサッカーの試合も行われており、スクリーンにはサッカー用の45分の時計も設置されている。一石二鳥どころではない。五、六鳥くらいだろう。
しかし、何か一抹の寂寥を感じざるを得ない。野球は青空の下でやるものではないか? 風や雨などを計算に入れた守備もプロの技、強風のために落球してしまうのもまた一興。ドームではどうしても天然芝にせざるを得ず、選手に負担がかかる。一説によれば、天然芝と人工芝では選手寿命が2〜3年も違ってくるという。最近では選手に対する負担が軽減された人工芝の採用が進んでいるが、天然芝を堪能しているイチローに言わせれば「全然違う」。
12球団の本拠地の中で、天然芝を採用しているのは甲子園・スカイマークスタジアム・広島市民球場の3つだけだ。神宮球場・横浜スタジアム・千葉マリンスタジアム・フルキャストスタジアム宮城は屋根がないにも関わらず人工芝を採用している。たしかに人工芝のほうがコストが安く済み、手入れなども楽だ。しかし、悲しいことである。オリックスなどは、なぜか年間使用料も高い大阪ドームのほうを将来的に本拠地にすると言っているし、広島市民球場も改装によって人工芝を採用する可能性がないわけではない。最悪の場合、天然芝を採用した球場が甲子園だけになってしまうことも考えられる。
野球の本場・メジャーリーグでも一時期は人工芝を用いた球場が激増した時期があった。しかし今では30球団のうち、本拠地が人工芝であるのはわずか3球場(メトロドーム、トロピカーナ・フィールド、ロジャース・センター)のみである。日本と同様に経営状態の苦しい球団も多いが、決して経費をケチって人工芝にしようとはしない。のみならず、内野も土ではなく、やはりコストの高い天然芝である球場が多い。ちなみに日本の12球団の本拠地で内野も天然芝なのは、スカイマークスタジアムただ1つだ。
野球のための球場を建設してほしい。もちろん屋根はなく、内外野とも天然芝。座席は野球を見るのに最も適した配置にし、角度も適切にする。時代背景に合わせて分煙化やバリアフリーも完璧、案内などは数ヶ国の言葉で表記する。それが野球国際化のための対策でもある。人工芝に慣れすぎて、国際試合で思わぬ苦戦を強いられるようなこともできるだけ避けたいし、野球の国際試合を行うにふさわしい球場として建設する意味合いもある。今のところ、日米野球などの試合はほとんどドーム球場で行われているが、いずれは「野球のための球場」での国際試合を、澄みきった青空の下で見てみたいものだ。
