プロ野球エルニーニョ現象2003/12/19up

 最近、エルニーニョ現象による異常気象が話題となっている。日本プロ野球界を見てみると、2003年ほど異常な出来事が多かった年はない。そこで、今年のプロ野球をプロ野球エルニーニョ現象と勝手に名づけた。どんな異常な出来事があったか、振り返ってみる。


2月16日 ミラー獲得断念
 今年の異常ぶりはこのニュースから始まった。中日入りが決まっていたミラーが、突然レッドソックスでプレーしたいと我がままを言い始めた。中日側との会談をもキャンセルする誠意のなさは前代未聞。結局ミラー側が陳謝することと移籍金などを中日に返還することを条件に中日側が契約解除に合意したが、日本球界がメジャーになめられていることを如実に表す事件でもあった。

2月19日 ローズ退団・引退
 3年ぶりに日本球界に復帰したロッテのローズ(元横浜)が、異例とも言えるキャンプ中の退団となった。理由としては、家族が日本になじめなかったことが挙げられるという。年俸は日割りで支払われるため、「神のお告げ」と言って帰国した阪神のグリーンウェルのような丸損は避けられたが…。主砲を失ったロッテのダメージは計り知れないほど大きく、やはりAクラスにはなれなかった。

3月20日 大塚、中日入り
 ポスティングシステムでのメジャー移籍に失敗した近鉄の大塚が我がままを並べた結果、中日入りが決定した。本来は近鉄残留しか許されるはずがなかったのだが、飼い殺しにすると大塚に対して近鉄が年俸を支払う義務が生じるため、貧乏球団の近鉄は放出を決意。結局大塚は1年間中日でプレーした後、パドレス入りが決定。中日はただの腰かけとなった。

4月23日 石毛監督解任
 シーズン途中に解任された監督は数え切れないほどいるが、3年契約の2年目の4月に解任された人が過去にいただろうか? また、2002年の最下位と2003年出だしの最下位は石毛監督の責任だろうか? どう考えてもイチロー・田口・アリアス・加藤ら主力を簡単に放出したフロントの責任であり、石毛監督がいちばん悪いとは思えない。今年は他にも各球団でフロントの横暴が相次いだ。

6月13日 溝口、2階から飛び降りて負傷
 ダイエーの溝口という投手が深夜に無断外出を図り、合宿所2階から飛び降りて右足を骨折。18日に手術を行った。なお、この投手は2月26日にも門限を破って外出して交通事故を起こしており、球団側は罰金200万円と1ヶ月の謹慎という重い処分を言い渡した(前回は罰金10万円と1週間の謹慎だった)。

7月2日 川崎、球宴出場辞退
 3年間一軍で登板していないのにファン投票で1位を獲得した川崎が、この日正式に出場辞退を表明した。年間2億円という多額の年俸をもらいながら移籍後登板ゼロということ対する、2ちゃんねらーを中心とする嫌がらせである。中には1日に1000票も川崎に投票する人がいたそうで、インターネット投票システムがあまりにもずさんすぎた。ただ、2位の井川を繰り上げ選出したのは英断である。

7月8日 阪神、マジック49点灯
 セリーグ最速、プロ野球全体でも2番目に早いマジック点灯。阪神が強いという以前に、他の5球団がだらしなさすぎた。阪神フィーバーとは裏腹に他の5球団のファンはすでにしらけており、阪神戦以外の観客動員数は伸び悩んだ。そして、もはやセリーグには見どころがなくなった瞬間でもあった(この頃パリーグはダイエー・西武・近鉄が激しく争っている)。

7月29日 阪神ファン、プレー中にメガホン投げ入れ
 甲子園での横浜戦、9回裏2死から藤本が打ったファウルフライをレフト多村が捕ろうとした時に、阪神側のスタンドからメガホンが投げ込まれた(こちらを参照)。馬鹿なファンが外野手に向かってメガホンを投げるのはよくあることだが、捕球の妨害をするのは前代未聞。この日の敗戦で横浜との対戦成績が16勝2敗となったが、それがよほど気に入らなかったのだろうか?

8月13日 フジテレビ、王監督を侮辱
 「水10! ワンナイ」という番組内で王監督を侮辱する内容の放送を行い、ダイエー側が厳重に抗議。フジテレビ側は謝罪したが、普段温厚な王監督の怒りがこの時はなかなか収まらない。結局フジテレビは日本シリーズの放映権を失った。それが原因で、テレビ東京が29年ぶりに日本シリーズの放映権を手に入れ、しかも第7戦までもつれたため実際に放送することができた。実に皮肉な出来事だった。

9月17日 道頓堀ダイブで死者
 優勝してめでたいはずなのに、図らずも死者が出ることになってしまった。しかも、後ろから落とされたという目撃証言もある。道頓堀に飛び込んだ人数は最終的に6,293人と言われているが、これは2002年のワールドカップの時の約3倍。一部の阪神ファンの良識のなさを如実に表す結果となってしまった。今年は他にも阪神ファンの暴走が相次いでいる(詳しくはこちらを参照)。

10月6日 川相、現役続行を表明
 現役引退を表明し、引退セレモニーまで行っていた川相が引退を撤回、現役続行の意思を表明した(結局中日入り)。原監督から一軍守備走塁コーチへの就任を打診されていたが、原監督の辞任後の巨人の対応が遅れ、しかもポストが二軍守備走塁コーチだったことが原因と思われる。今思えば、これがナベツネ・三山の最悪コンビの暴走の始まりだったのか。

10月12日 ベストとワーストな記録たち…
 この日パリーグの全日程が終了。2003年はあまりに多くのチーム記録が生まれた。ダイエーのチーム打率.297、安打1461、二塁打276、塁打2265、死球74、奪三振1126はプロ野球新記録、得点822、打点794もパリーグ記録だった。一方でオリックスはチーム防御率5.95、失点927、自責点819、被安打1534がプロ野球ワーストで、完投数5は99年阪神と並んで最少だった。ここまで記録が生まれること自体、プロ野球が異常であることを示している。

11月3日 小久保、無償トレード
 主砲をタダであげるという前代未聞(この言葉は何回目だ?)の事態。これに対し王監督や選手たちは露骨に不快感をあらわにし、優勝旅行に参加した選手は阪神の17人よりもさらに少ない、たった9人だった。このトレードの黒幕はダイエーの高塚(こうづか)オーナー代行で、一気に株を下げることになる。工藤が移籍したときもそうだが、主力に対して非常に冷たい球団というイメージが拭えない。


 この異常事態が多発したのはいったいなぜなのか。それを根本的に解決しない限りは、来年もまた同じことの繰り返しだろう。ただ、こういった問題に正面から取り組もうとしている人は皆無のようだが…。