FA制度はなぜ生まれたのだろうか。それは、希望球団に行けなかった人の夢を叶えるため、また自分の能力を行かせる球団へ自由に移籍するためである。そして、それは「職業選択の自由」という権利から考えて当然のことである。日本では有力なドラフト選手に他球団からの指名が相次ぎ、入りたい球団に入ることができない例が続出したことから、93年にFA(フリーエージェント)制度が誕生した。
野球協約には次のように書かれている。「FA選手を獲得した球団は、旧球団に年俸分の金額に加え、選手または年俸の50%に当たる金額を補償しなければならない」。これは何を意味するかというと、FAで選手を獲るのには多大な金が必要であるということだ。例えば、年俸2億円の選手を獲るには、その選手の年俸+元の球団に払う金で、合計5億円もの大金が必要となる。5億円あれば、有力な中堅選手が何人も雇える。結果、FA制度を使う球団は限られるようになった。
念のため、今までにFAで選手を獲得した人数を球団別に記してみると、
巨人8人、阪神5人、ダイエー5人、中日3人、横浜2人、西武1人、近鉄1人、ロッテ1人。単純に考えて、ヤクルト・広島・日本ハム・オリックスの4球団には何のメリットもない制度だ。もっとも、一部で言われているように巨人だけがFAを乱発しているようではないが…。
選手会は、FA制度の改正を求めている。どう求めているかというと、「もっと活発に移籍できるように、移籍金を減額しろ」と言っているのである。なるほど、これなら資金力に乏しい球団でも積極的にFA選手獲得に名乗りを挙げやすくなるだろう。しかし、広島のように最初からFA選手を獲得しないと決めている球団は猛反対している。「ウチは移籍金で代替戦力を獲得している。それが減額されたら困る」と。これももっともな話だ。
結局、金のある球団、少しは金のある球団、全然金のない球団、選手側。この4つの意見がてんでバラバラなのだから、どうしようもない。誰もが得をして誰も損をしない、そんないい案はないだろうか。今のFA制度には心ある野球ファンは納得していない。納得しているのはナベツネと星野だけではないのか。
そもそも、どうしてFA選手を獲得するのが「金に物を言わせて」になってしまうのか。FA権を行使する側も金目当てに行使したと言われたりしている。これがそもそも間違いではないのか。ではどうするか。金目当てにFA権を行使できないようにすればいいのである。だからまず、FA残留をした選手は再度のFA権の取得を禁止するとか。あと、移籍する場合は単年契約で、移籍前の年俸を上回ってはならないようにするとか。
だってそうではないか。FA移籍1年目は移籍前と同じ年俸なのに、2年目以降に急激に年俸がアップしている選手がいるではないか。また、FAで移籍した後1度も一軍戦に登板していないのに、2億もの大金を毎年受け取っている選手もいるではないか。単年契約なら、これらのことは起こらない。成績がそのまま年俸に直結するから、必死にプレーする気になるだろう。それから、FA宣言者が5人以内の場合は、1球団1人までしか獲得できないようにしてもいいのではないか。そうでないと、ナベツネと星野だけが得をする。
ところで、FA権導入に反対したのは、パリーグの3球団のみである。残りの9球団は、積極的にしろ消極的にしろ賛成したのである。いかに巨人の機嫌を伺おう、人気にあやかろう、と考えている人が多いか、これで想像がつく。巨人も巨人だが、同罪の輩もたくさんいる。まして、巨人の人気を借りつつ巨人を批判するような奴には、呆れるよりほかはない。
この時他球団が一致団結してFA権導入を阻止していればよかったのかもしれない。が、実際には巨人以外にもFAを乱発する球団がいる始末だからどうしようもないか。とにかく、「FA=金」という図式を崩すというところから始めねばならない。