今年もオールスターが終了した。第2戦は15年ぶり(2回目)にフルキャストスタジアム宮城で試合が行われたが、雨にもかかわらず20,958人もの観客が集まった。おまけに、チケットを入手できなかったファンが球場の外で声援を送るという一幕もあったようである。こういう話を聞くと、とても心温まる思いがする。8回途中で降雨コールドになったことだけが残念だが…。
私もオールスターは決して嫌いではないのだが、年によって当たり外れがある。近年では2004年が面白かった。この年はオリックスと近鉄の合併が発表されており、パリーグの灯を消すまいとパの選手が奮起。勝ちにこだわって目の色を変えて試合に臨んだ結果、セリーグに2連勝したのである。
野球というのは今さら言うまでもなく、チームの勝利を目的とするスポーツである。昨年日本ハムのエース金村が、2ケタ勝利がかかった登板で4回2/3で降板を命じられてヒルマン監督を批判したが、このような行為が正当化されないのは、野球は個人記録を競うスポーツではないからである。首位打者と本塁打王と最多勝利投手がいても、チームが最下位ならば何の意味もないのだ。
ところが、オールスターではMVPだけでなく優秀選手(4人)にまで高額な商品や賞金が与えられるため、ここぞとばかりにMVP狙いの野球を始めるのだからたまらない。今年の第1戦では、1番打者のTSUYOSHI(ロッテ)が初回に内野安打で出塁。初球の二盗は際どいタイミングながら成功したが、2球目の三盗は楽々アウトになっている。これなども言うまでもなくMVP狙いの野球である。ノーアウトランナー2塁でパリーグの強打者がズラリと並ぶワクワクする展開なのに、見事にぶち壊しにしてくれた。2回以降パリーグが1人もランナーを出せなかったことを考えると、いかにもったいないプレーかお分かりいただけると思う。
このプレーに限ったことではなく、「全部直球で行きます」と球種を予告する選手、予告はしないけれど結局直球だけで勝負する変化球投手、普段3本くらいしか本塁打を打たないのにホームラン一点狙いのフルスイングをする選手が少なからず存在する。また、俊足ランナーが塁に出ても、暗黙の了解のようにピッチャーはまるで牽制球を投げない。強肩キャッチャーと俊足ランナーの対決も見どころであるはずなのに、牽制球がないため簡単に盗塁成功できる。これは面白くないと思うのだが…。
前半戦最後の6試合を欠場した高橋由伸(巨人)ら、故障を抱えている選手もみんな強行出場しているが、はたしてそこまでの価値はあるだろうか? 勝敗度外視で和やかな雰囲気の野球は、シーズン終了後に故障していない選手だけでゆっくりやればいいのではないだろうか。せっかく楽しいペナントレースを中断して野球をやるなら、真剣勝負であるべきだ。中日の落合監督は「連勝より、選手を(怪我なく)無事帰せることが嬉しい。それだけが心配だった。勝ち負けはそのときの状況」と語っている。真剣勝負なら選手の怪我もある程度やむを得ないが、残念ながらそうではないことがここでも分かる。
ただし、一概に選手を責めることもしにくい。MVPや優秀選手をたくさん選んで商品・賞金をたくさん与えるのはスポンサーの宣伝のためだし、MVP狙いに走ってしまいがちなのは勝つことにさほどの意義がないためだからである。上原(巨人)も提言していたが、オールスターの勝利チームにアドバンテージを与えるのも良策であろう。
メジャーではオールスターの勝利チームにワールドシリーズ本拠地開幕権が与えられる。これを日本にも導入すれば効果は絶大ではないだろうか。なぜなら日本シリーズを本拠地で開幕すれば、全てのホームゲームが土日の開催になるからである。平日に試合を見に行くことができない人も多いことを考えれば、これは素晴らしいファンサービスである。
2試合開催を維持するならば、翌年のオールスターの第1戦を勝ったリーグの本拠地で行うという方法もあり得る(第2戦は地方開催)。これも効果的な方法だ。2005年以降のパリーグは6戦全敗だが、これだとパリーグの本拠地ではいつまでも開催されないからである。ファンのことを思えば、勝つしかない。ただし、2試合開催だと1勝1敗のときにどうするか難しい。得失点差というのが妥当かもしれないが…。
他にも方法があるかもしれないが、いずれにせよ勝利がファンのためになるならば、選手も勝利のために試合に臨むのではないだろうか。
