日本のプロ野球は、徐々に選手層が薄くなりつつある。こう書いたら大げさだろうか? しかし、これは事実なのである。
現在、プロ野球は12球団で行われている。その支配下人数は70人までと制限がついている。したがって、プロ野球選手はどんなに多くても840人が精一杯なのである。仮に才能のある人が1,000人いると分かっていたとしても、160人は首を切られる運命にある。考えてみれば、これほどおかしいことはない。才能のある選手なら何十人抱えていても損はないのだ。
首を切られた160人はどういう運命になるか。ある人は打撃投手やブルペン捕手になり、ある人はスカウトや球団職員などとして球団に残り、ある人は韓国や台湾、または社会人野球に転身し、コーチや解説者になる人もいるだろう。それができなかった人は、野球とは無関係の職業を探すことになる。あと1〜2年ほど様子を見れば間違いなく開花すると分かっていても、70人枠のせいで首を切らざるを得ない場合もある。これは日本球界全体から考えれば、とんでもない大マイナスである。
70人枠がなぜあるかと言えば、金持ち球団と貧乏球団に差ができないようにするのが理由であろう。例えば広島やオリックスは65人ほどしか雇う余裕がないのに、巨人や西武などは150人も200人も抱える、ということも考えられる。それは明らかに広島やオリックスにとって不利である。しかし、それを承知の上で、ここでは70人枠を全面的に撤廃することを提言したい。理由は先に述べたとおり、日本球界の選手層を厚くするため、また有能な選手が首を切られるのを防ぐためである。
では、金持ちでない球団を救済するにはどうするか。まず考えられるのは、最低保障年俸の撤廃である。現在では、二軍選手を含めたプロ野球選手の最低保障年俸は400万円となっている。しかも、現実にはギリギリ400万円の選手はおらず、最低でも440万円もらっている。440万円だとしても、月給に換算して36万円あまりもらえる。二軍でもちょっと頑張れば700万円くらいはもらえ、これだと月に60万円近くももらえる。解雇されたときのために貯金するための金額であるならまだよいが、実際には二軍選手なのに高級車を乗り回している選手がいる。二軍で育ててもらっている間は、球団に対して何一つ貢献していないのと同じで、その選手に多大な年俸を払う必要はないと私は思う。彼らの年俸を削れば、あと数人は余分に雇うこともできる。そうすれば、選手層はそれだけ厚くなる。
それから、契約金も撤廃すべきである。まだ球団に対して何の貢献もしていない人に1億5千万円(そのほか、裏金が数億とも)も払う必要がどこにあるだろうか。そういう意味で、オリックスの契約金ゼロはいい制度である。ただし、オリックスの場合は中途半端な即戦力大学生・社会人を雇っているだけなのであまり意味はないが…。とにかく、新人選手の契約金を撤廃すれば、それだけで数億の節約になる。これなら年俸数百万円の若手を50人でも100人でも支配下に置くこともできるだろう。
もちろん、あれも撤廃これも撤廃では選手たちから不満の声が噴出するだろうから、頑張った選手にはお金を出しますよ、という出来高制度を充実させればよい。チームに貢献した選手になら、何億出しても惜しくはあるまい。ただし以前も述べたとおり、試合数を主なインセンティブの対象とすべきである。
2003年の巨人は、あまりにケガ人が続出したため二軍の選手数が著しく足りなくなり、キャッチャーに一塁を守らせることが多かったという。こんなことはあってはならない。こういうことを防ぐためにも、支配下選手数は多いに越したことはない。支配下選手が増えれば競争が激化する。即戦力で入団した選手も、二軍で鍛えられた若手より上だとは限らない。レギュラーのベテラン・中堅も安泰ではない。こういった環境でこそ、真の競争原理が生まれる。一軍だけではなく、二軍でも試合に出るために熾烈な競争が行われるだろう。
不況の影響を受けて、社会人野球の廃部が相次いでいる。その結果、野球を続けたくても続けられない選手が増えているのは想像に難くない。これを救う役目を果たすのは他でもない、プロ野球である。
70人枠があるので、「こいつはもったいない」という選手でも首を切らざるを得ない場合が多く発生している。最後に、2003年オフに解雇された選手の中で、ちょっともったいないと思う選手を記してみた(トレード、任意引退は含まない)。