
ナベツネの退任。プロ野球ファンにとっては喜ばしいニュースであることは間違いない。おそらく、退任を喜んでいる巨人ファンもたくさんいるはず。というか、喜ばない巨人ファンのほうが少数派だろう。それくらい、嫌われても不思議のない人物である。
だが、退任して全くプロ野球界に絡んでこないだろうか。私はそうは思わない。むしろ「院政」を行うのではないかと危惧している。つまり、オーナーとしての地位は失うが、実質的な権限は失わずこれからもプロ野球界に口出しをしてくるのではないか、ということだ。そうなっては、今以上にやかいなことにならないとも言い切れない。
ナベツネはこう言っている。
「未解決の問題があるだろう。ダイエー(の身売り)が、どうなるか。近鉄はサラ金に選手の体を売った。体を張って球界の改革だけはやる。1年でやらなきゃいけないだろう」
ナベツネのような影響力の大きい人が本気で球界の改革を行ってくれるのならば、まことに心強い限りだ。しかし、ナベツネの言ったことは球界の改革ではない。ダイエーの身売りに関してはナベツネの口を差し挟むべきところではない。近鉄のスポンサーに消費者金融のアコムが加わったのも、この不況を考えれば致し方のないところ。ナベツネに限らず、野球人たちは消費者金融がプロ野球界に入り込んでくるのを極度に嫌っている。それが、30億円の巨額の加盟料なのだ。この不況下に、そんな大金を支払ってまでプロ野球球団のスポンサーになりたがる企業はわずかだろう。今の時代、スポンサーを選り好みできるほどの余裕はないのだ。
真の球界の改革は、まずナベツネがプロ野球界に一切口出しをしないところから始まるのではないだろうか。ナベツネがコミッショナーより発言力を持つなど、どう考えてもおかしい。ナベツネもナベツネだが、コミッショナーも情けない。コミッショナーには、自球団の利益のみを考えてバラバラになりがちなオーナーたちをまとめていくリーダーシップが欲しい。が、ナベツネの前ではとかく影が薄くなりがちである。
ただ、ナベツネだけではなくてどの球団のオーナーも自球団の利益を優先に考えている点では変わらない。ナベツネが退任したからと言ってすぐにもプロ野球界が良くなるとは思えないが、少なくともこれ以上悪くなることはないだろう。
追記(2003年8月13日):後任のオーナーになる予定だった堀川球団社長が体調を崩したため、ナベツネのオーナー退任は遅れる見通し。全国の野球ファンががっかりしている。